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じもラブ Vol.14 恵風会

じもラブ Vol.14 恵風会

身延山久遠寺の総門から三門にかけて広がる「門内商店街」。珠数や法衣といった仏具から、特産品、土産物、日用品、近年では「ゆるキャン△」グッズまで、多彩な品々を扱う商店をはじめ、旅館や飲食店などが立ち並び、古くから、おもてなしの心で訪れる人を迎えてきました。そんな門内商店街の女将さん達が集まって、2005年に創設されたのが、「恵風会」。2026年には、「おもてなしのやまなし知事表彰」を受賞しています。
設立から21年。さまざまな活動の根底には、揺るぎない身延愛がありました。

 

門内商店街の女将さんの集まり「恵風会(けいふうかい)」

 

会長 熊王 久美子 さん熊王:「恵風会」は、2005年に、門内商店街の女将46名によって結成されました。もともと商店主の集まりはあったのですが、それとは別に女将の集まりを作る大きなきっかけになったのは、当時復元中だった久遠寺の五重塔の落成慶讃法要だったと聞いています。久遠寺からの参加依頼を受け、歴史的なお祝いの機会にぜひ参加したい、自分たちも力になりたいという思いから、歌手の米良美一氏を招いての記念コンサートを企画・運営しました。

 

副会長 遠藤 わかな さん遠藤:加えて、その頃、自治会の婦人会が無くなったため、それまで婦人会が担当していた災害時の炊き出しや緊急対応の物品の管理などをするために、女性の会があった方が良いだろうという目論見もあったようですね。さらに、それまで個々のお店で行っていたおもてなしを、みんなで心を一つにしてやっていこうという思いもあったと聞きました。

 

会計 池上 圭子 さん 池上:2009年に五重塔が復元建立した際には、日本全国の宗門の方や檀信徒の方々が参加して盛大な落成慶讃法要が行われました。私たちも、その日のために作ったお揃いのオリジナルジャンパーを着て来場者をご案内したり、五重塔の端材を活用したストラップを作り自分たちで包装して、「これは五重塔の端材で作ったんですよ。お守りとしてどうぞ」などと声を掛けながらお客様にお配りしましたね。

 

活動を通して縁がつながり見事に花開いた、蓮の花でのおもてなし

恵風会の様子

 

遠藤:活動を通して恵風会の名が広く知られるようになり、いろいろな縁もつながりました。なかでも大きかったのが、静岡にある代通寺のご住職とのご縁でした。
代通寺さんは以前から蓮を育てていらして、日蓮聖人にも見ていただきたいと、毎年、見事に咲いた蓮の鉢を久遠寺の御廟所にお供えされていました。あるとき、その鉢を見た先輩方が「これを商店街にも置けたらステキよね」と盛り上がり、思い切って代通寺のご住職にお話しされたそうです。そうしたら、「植え替えの時にお手伝いに来られてはどうですか」とご提案いただいて。そこから、恵風会のメンバーがお手伝いに行き、つぼみが出てきた頃にわけていただくというお付き合いが始まったと聞いています。

池上:みんな自分のお店があるので、最初は数名が代表してお手伝いに行くという形で、わけていただけたのも2鉢だったのですが、年々人数が増え、それに従ってわけていただける鉢の数も増えて、数年後には30鉢を超えるようになりました。恵風会だけでは対応が難しくなり、トラックを手配するなどいろんな方にお手伝いをいただいていたなか、代通寺さんから、「何年も通って蓮の育て方もわかっただろうから、そろそろ身延で育ててみてはどうですか」とご提案いただいたんですよね。それを機に、身延町内の田んぼを借りて、自分たちで育てるようになりました。

 

蓮の花のイメージ

 

熊王:最初は慣れない農作業だし、本当にできるのかと不安でした。田んぼを探すところから、鉢の手配、植え替えや栽培の段取りなど、パワフルな先輩方が私たちを導いてくださって、何とか続けていくことができました。特に蓮の植え替え作業は、今では、恵風会だけでなく身延山門内活性化委員会の男性の方の恒例行事ともなっていて、3月初旬の作業日には、たくさんの人が集まってくれます。蓮、40鉢を田んぼに運んでひっくり返し、 泥だらけになりながら田んぼの新しい土を入れ 蓮根を植え替えるという大変な作業なのですが、 みなさん忙しい中参加してくださっています。
植え替え後は持ち回りで水や肥料をやり、6月中旬、つぼみが出た頃を見計らって鉢に入れて、三門前や御廟所、各お店の店先に飾ります。すると、数日のうちに大輪の花が次々と開き、訪れる人を楽しませてくれるようになります。

 

蓮の花栽培のイメージ

 

池上:店先で凛と咲く蓮の花を見るのは、私たちにとっても喜びです。見ごろは8月中旬まで。蓮の花は寿命が短くて、咲くと3日ほどで散ってしまうのですが、全店舗に飾っているので、商店街を歩いていただければ、どこかで咲いている花に出会えます。白い花、ピンクの花などいろいろな種類があるのも見どころです。
つぼみはたくさん出るだろうか、ちゃんと咲いてくれるだろうかと、最後まで心配は尽きませんが、最近は、「蓮の花を見に来ました」とおっしゃってくださるお客様もいて、頑張ってきてよかったなと思います。

 

蓮の花栽培のイメージ2

 

遠藤:近年は、蓮の鉢を活用して、冬季に南天を全店舗の店先に飾るようにもなりました。南天は、縁起が良いだけでなく、山梨の民謡「甲州盆唄」でも「身延の者は声が良い、南天山の水を飲む」と謳われている、身延の象徴ともいえる木です。需要が高まるお正月を前に、400本以上の南天を入手するのは簡単なことではないのですが、町内の農家と契約したり、久遠寺のご好意で身延山の南天を提供していただき、なんとか確保しています。お客様から「素敵ですね」などお褒めの言葉をいただくことが多く、写真を撮られている姿も見かけるようになりました。門内商店街を彩るお正月の風物詩として、認識されてきたのかなと感じています。

 

南天のイメージ

 

 

20年近くにわたる活動が高く評価され、おもてなしのやまなし知事表彰を受賞

おもてなしのやまなし知事表彰のイメージ熊王:2026年1月、恵風会は「おもてなしのやまなし知事表彰」を受賞しました。優れたおもてなしを実践している県民や事業者に贈られる、栄誉ある表彰です。先輩方のご尽力があって始めることができた活動が、20年近く経ってこういう形で認めてもらえたことが何よりも嬉しいですね。いろいろな苦労もしつつ、長年みんなで励まし合って続けてきたことへのご褒美だと思っています。
これからも、おもてなしの心を大切に、どうしたらよりお客様に喜んでいただけるのかを考えながら、末永く活動していけたらいいですよね。蓮や南天の取り組みにしても、後継者不足などの課題もありますが、いろいろな方の力や知恵を借りながら時代に応じたやり方を模索するなどして、身延町の魅力のひとつとして長く続けていけたらと思っています。​

 

表彰式後の記念写真
表彰式後の記念撮影の様子

 

 

「恵風会」への思い

恵風会の3人
池上:嫁いで来た頃から、パワフルな先輩方に引っ張っていただきながら、いつも楽しく活動させてもらってきました。右も左もわからない中でこの地に溶け込めたのは、恵風会があったからだと感謝しています。微力ながら、これからも門内商店街を良くしお客様に喜んでいただけるように力を尽くしていきたいと思います。


遠藤:恵風会のみなさんともよく話すのですが、檀信徒さんであれ観光客であれ、やっぱり、気持ちよくお越しいただき、気持ちよくお帰りいただくのが一番ですよね。蓮の花も南天もそのための取り組みの一つなので、根底にある思いを大切にしながら、先輩方が築いてきたものを次の世代につなげていけたらと思っています。

熊王:もともと「おもてなしの心」を大事にしてきた門内商店街ですが、恵風会ができたことで、みんなが同じ気持ちでお客様を迎えられるようになったと思います。最近は、身延山のお膝元で商売をしているから、日蓮聖人や久遠寺のことをもっと知る必要があるよねということで、親睦を兼ねた研修会も行っています。例えば、身延山内の宿坊でお経をあげてもらって説教を聞き、御朱印をいただいたり、七面山に登ったり、輪番奉仕や梅取りといった久遠寺の行事に参加したり…。今後は、日蓮聖人ゆかりの池上本門寺を訪ねるなどの研修も考えています。
 
お迎えする私たちが、研修で実際に体験することで、来てくださった方とより深いお話ができる。それが何よりの「おもてなし」につながると思っています。
設立当初の46名から少し減り、現在の会員は40名。これからもみんなで協力しながら、門内商店街を盛り上げていきたいですね。

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